多様性の補完

代表性の確認

国会は、国民の代表者によって組織されなければなりません。そのためには、国会議員が私たちであることに加えて、その構成には熟議を経た国民の価値感や考え方の多様性が、量的に反映されていることが求められます。


国会が確かに国民の代表者によって組織されていれば、国会議員が熟議をして時の世論とは違う結論に達したときにも、その結論は正当であると言えます。全ての国民が熟議をしてもそうなると考えられるからです。


しかし、議論や選挙によって国会にある意見が収斂し、多様性が失われてしまうと、国民と国会は判断を誤ってしまうかも知れません。構成に多様性を持つ公論府での議論は、公から意見の多様性が失われてしまうことを防ぎ、国会議員が代表者として適当であるかを国民が確認する対照材料になります。


代表性を補完する

公論議員の多様性は、将来の有権者に選択肢をもたらします。しかし、国会が特別ではない人によって組織され、代表性を持つようになるまでには長い時間がかかります。選挙制度などの実際を考えると、完全な代表性を国会に反映させることは難しいはずです。また、若い世代が国会に代表を持つことには限界もあります。


そこで、若い世代が影響力を持ったり、国会議員の著しい性差を補正したりするために、意見や請願を議決すること等を通じ、公論府が国会の代表性を補完する役割を担えるようにします。


多様性の掘り起こし

共通の利害を持つ人々が団体を結成し、議員に政策を働きかけることがあります。しかし、そうした方法で現れる多様性は例外的かも知れません。また、国会議員が団体の働きかけに選挙での支援を期待し、偏った結論を導き出してしまうおそれもあります。


公論府は働きかけを広く受け入れ、国会では取り上げられにくいテーマ、埋もれてしまう意見や寛容さ、価値感の多様性を公に引き出すことができます。


請願等による補完

人々が政府に要求をする伝統的な手段である請願は、今の憲法でも権利として認められています。衆議院や参議院に対しても、議員の紹介があれば請願を行うことができます。また、議員20人以上の要求があれば、関係する常任委員会(法務委員会や厚生労働委員会など)の審査にかかわらず、本会議にかけることもできます。


しかし、国会に対する請願のほとんどは、委員会での審査未了で終わっています。条文草案では、国会議員の紹介を経ずに請願し、さらに会議にかけさせる能力を公論府に与えています。これによって、請願の審査を行う独立した請願委員会のように機能することを期待することができます。


また、条文草案では請願以外にも、国会の公聴会で公述すること、委員会等に意見書を送付すること、及び内閣に質問書を送付することについて特別な規定を設けています。


地域の多様性

憲法は、選挙区から選出された国会議員についても地域の代表者ではなく、全国民の代表者でることを求めています。この原則は公論議員も同じです。しかし、国会議員の多くは東京の議員宿舎を生活の拠点としているため、他の地域にある生の視点が十分に反映されていないかも知れません。


公論府はその性質上、中心施設を東京に置くことは必ずしも要求されず、また、通常会には情報通信を通して参加できるようになるでしょう。例えば、中心施設を大阪か名古屋に置き、それ以外の各地方に集合施設を置く形とすることで、東京以外の住民による生の視点を補完することを期待できるでしょう。