独立した公共放送

公共放送の意義

民間の大手新聞や放送局は株主が所有し、営利企業から広告料を受けるなどして紙面や番組を作っています。私たちは新聞社や放送局を所有してはいません。その運営に実質的な関与をすることもできません。


新聞やテレビの影響力=マスメディアが持つ第四の権力は、作り手に明確な意図がなくても国民の自由な判断を阻害し、世論の健全さを損なわせ、民主主義を歪めてしまうおそれがあります。


健全な世論が形成されるためには、国民が自らの管理の下に政府から独立した公共放送を運営し、放送を通じて公正で適切な報道と多様な言論を受け取り、社会の多様性を認識できるようにする必要があります。


NHKの仕組み

日本で唯一の公共放送局であり、「みなさまの公共放送」を謳うNHKの組織は、国会の同意を得て総理大臣が任命する経営委員を頂点とする系列に、会長や理事、監査委員までもを含む各職職員の人事があります。


また、受信料制でありながら予算や事業計画についても国会での承認が必要とされています。海外の公共放送も権力から完全に独立しているとは言えませんが、報道機関としては決して望ましい形とは言えません。


国民の公共放送を

しかし、経営委員らの人事や予算や事業計画の承認を国民や視聴者の直接投票によって行うことは難しいでしょう。それらは形骸化することなく、公共放送の意義や機能が損なわれないように行われなければならないからです。


それらの要求を満たすためには、政府や国会から独立した私たちの代表者が必要です。その代表者たちが経営委員らの人事や予算などの審査を担うようになれば、国民は自らの管理の下に、権力や企業から独立したマスメディアを持つことができます。


国民の知る権利

今は大臣や政府の職員が公務として対応している記者会見も、多くは報道各社による記者クラブが主催しています。会見に出席する記者には公人に質問をする特権が与えられていますが、私たちはその会見に出席することもできません。


しばしば、特定の新聞や放送局の記者が会見に出席することを公人側が拒否することがあります。これは報道や言論の自粛につながるおそれがあります。国民が管理し、国民に由来する正当性を持つ公共放送の記者には、国民の代わりとなって取材をする責任と保障が与えられることになります。


国民の下にある公共放送は、政府の機関でもなければ、民間の新聞や放送局のライバルにもなりません。知る権利を国民が自ら行使することになるからです。そのため、取材力や成果を民間の報道機関や個人に解放することも期待できるようになります。


パブリックアクセス

世界のいくつかの国では、公共の電波やインフラを使うテレビやラジオについて、市民らが番組を制作して放送する権利が認められています。マスメディアを所有しない市民が番組を作り、言論の自由を行使する権利が認められているのです。


この仕組みには専用のチャンネルで放送するものと、放送局が一定の時間を開放して放送するものとがあります。しかし、多くの人に見てもらうことが難しかったり、放送する番組を選ぶ過程で公正さが損なわれてしまうおそれもあります。


公論府が公共放送に関与することは、放送局が制作する番組が視聴者に対して多様な言論を伝え、間接的にパブリックアクセスの恵沢をもたらします。また、市民が直接制作する番組を高い視聴率を期待できる形で放送する仕組みにおいても、多様性や公平性が損なわれないようにできます。